夢と現の境目で:前編

「ねぇ、ソーマくんは、」
休日の昼下がり。特に何をするでもなく居間でボーっとしていたら、同じようにしていたリクが話しかけて来た。
「もしかして今居るのは夢の中かも、とか思うことない?」
「……はぁ?」
リクはたまに、こういうヘンな話を振ってくる。
大抵が抽象的な話で、面倒だからボクはテキトーに返答する。
もしくはリクの方が「ヘンな事訊いちゃってゴメンね。忘れちゃっていいから」などとすぐに取り消すんだけど。
「あホラ、コゲンタ来てから、信じられないくらい沢山のすてきな事があったから。
なんか、夢みたいって思っちゃって」
へへ、と照れ笑い。
今回は取り消す気はないらしい。
まぁ、まったりと暇してた事だし。たまには相手をしてやろう。
「小さい時はそんな事考えた気もするけど、最近は無いよ。」
「…そうか、そうだよね……」
あまり浮かない顔。どうやらお気に召さなかったらしい。
そうだなあ……、
「今は夢と現実、どっちだと思う?」
「え…っと、たぶん現実」
「でしょ。今は起きてて目が覚めてるんだから、夢じゃあない。違う?」
「うん、その通りなんだけど……でも夢の中にいる時も自分は起きてて、目、覚めてるつもりじゃない?
 ちゃんと夢って分かる人もいるって言うけど、ぼく、そんな事ないし」
明晰夢なんて、ボクも見た事ない。
「じゃあ、ほっぺたでも引っ張ってみれば?」
言うやいなや、ボクはリクの頬を思いきりつねった。
「いひゃいいひゃい!ソーマくん、ストップ!」
「っははは」
仕方ないので手を放す。
「もう…」
文句の言葉が飛び出す前に喋り出す。
「夢だった?」
「ううん、違った」
「安心した?」
「……うん」
いつもの笑顔に戻った。
実はこれだと穴があるんだけど、リクは気付いてないようだ。
とりあえずご機嫌は取れたから深く考えないでおこう。

あとがき

拍手用らしい長さに収まって大満足です。
ソマリクである必要がカケラもないテーマでしたw
(てかオリジ小説でも同じテーマを扱ってましたね…忘れてたw)
最後にソーマくんが言ってるように、実は穴があって解決になってません。
その辺は後編にて触れてますので、よければそちらもどうぞ。

それでは読了ありがとうございましたー。

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2005.12.17 upload